オーガニックビル
きっかけは紙1枚のデザイン画でした。
デザイナー ガエタノ・ペッシェが持ち込んだ1枚のデザイン画。 そこには見たこともないような摩訶不思議な絵が描かれていました。 その平面図とも立面図とも判断しかねる斬新さに魅せられたビルオーナーは、「コレでいく」と決断。そして、その「想い」をカタチにするパートナーとして選ばれたのがコーナン建設でした。
イメージは「和」
自然との共生というテーマから広がったイメージは、竹林や日本庭園といった「和」 へと進化を遂げました。 建築の常識 「垂直・水平」の概念を覆した外壁は、上下・左右のパネル間隔をアンバランスにすることで、大空に向かって勢いよく伸びる竹林を表現。 また、 この外壁に合わせたサッシはすべて特注のもので、当時最新鋭のCAD 技術と情熱があったからこそ、実現したカタチでした。 ちなみに「和」のイメージに呼応する、 外壁ポットの植物はすべて外国製でした。
譲れないこだわり
設計段階で想定されていた外壁パネルの素材はコンクリート。 しかし、ひび割れや将来的なメンテナンスを考えると一抹の不安が残る。そう考えた現場所長は、 社内をはじめ業界中の人脈を駆使した実験・検証を実施。屋外で風雨にさらす曝露試験、コンクリート+顔料でつくられた建物の追跡調査など、要した期間は約1年。 そして、そんな苦労の結果、選ばれたのがセメントをガラス繊維で補強した素材 「GRC」 でした。
コラボレーション
何もかもが初めてで新しい試みばかり。プロジェクトの過程では、その道のスペシャリストを訪ねることもありました。 チャレンジングな試みを行う場合、 今までにない出会いや刺激がヒントとなるからです。 名前こそ出せないけれど、業界を越え、快く協力してくれた関係者は多種多様 。顔の広い技術者が人脈を活かし、水面下で色々な企業とコラボレーションしていたからこそオーガニックビルは今ここに存在しています。
ビルを手づくり!?
最先端ということは、その技術をカタチにしていく方法論も確立されていないということ。手探りで始めたアレコレは意外と手づくりの要素も多く、建物強度を守るための鉄骨設置も1本1本手作業で。 外壁パネルとサッシを1つずつ交互にはめ込む地道な作業も苦労の末ようやく完成。 外壁から飛び出したコンクリートの庇は竹の節をイメージしたもので、これも職人さんがコツコツとバケツで生コンを運んで仕上げていきました。
イタリア×日本
この建物には国を超えたこだわりがあふれています。 「朽ちても美しい建物を」との発想により新築の時からわざと汚れたような外壁ペイントを施したペッシェ。植木鉢の「植物を枯らさないために」という観点からオリジナルの自動給水設備を導入したコーナン建設。 このように異なる視点が融合し生み出されたこの建物には、極太鉄筋が採用された地下階段の手すりや、溶岩が流れ出る様子をイメージした床など、見所がいっぱいです。
未来への「ランドマーク」
ビルの竣工後にはテレビや新聞、雑誌といったメディアからの取材が殺到。 ニュース番組のオープニングを飾るなど、大きな話題を呼びました。 また竣工の翌年となる1994年には「グッドデザイン賞 (施設部門)」に、2014年には「生きた建築ミュージアム大阪セレクション」にも選定。 南船場という街のイメージをリードする建築物として、高く評価されました。 そして、その輝きは今も衰えることはなく、現在の、そして未来への「ランドマーク」として常に新しい感動を発信し続けています。
泉大津PAは、曲面が美しい
曲面が多用されたその躯体には、美しいカーブを描くための型枠技術や配筋技術が随所に活かされました。膨大な数の鉄筋の結束、重要なアンカーボルトやホールダウン金物の位置決めが的確に行われました。
品質検査
生コンクリートの品質検査、スランプ試験を経て、ポンプ車からのホースを自在に操る圧送工と、気泡を抜くバイブレーターなどの連携による打設が開始。カーブの多い型枠内にも迅速・的確に打ち込まれます。
匠の技
アンカーボルトやホールダウン金物に合致させる木材への特殊な角度の穴開けや、複雑な仕口の形状などを最終的に微調整できるのは現場の大工の「匠の技」です。最後を納めるのはやはり人の手なのです。
長尺の登り梁
重量3トンのコンプレッションリングをダイナミックに支える長尺の登り梁。複雑な躯体を成立させるためには、組み上げ手順に、一つの間違いも許されません。大胆に見えて実は精密な作業が慎重に進められます。
卓越したプレカット技術
登り梁の角度が3Dでそれぞれ異なるため、ひとつとして同じものがない300を超える母屋と仕口。卓越したプレカット技術が見事です。様々な無垢材と集成材を適材適所で使い分け小屋組が美しく構築されました。
高速道路の振動を吸収する「滑り支承」
木と鉄の融合。鉄骨アプローチの三本の柱には、高速道路の振動を吸収する滑り支承が配され、屋根には流麗なコノイド曲面を実現するために、構造体でもある野地板をパズルのように組み敷いていきます。
一枚一枚、職人の手作業で
屋根の複雑で美しい曲面を、滑らかに仕上げるために、ガルバリウム鋼板を一枚一枚丁寧に職人の手業で貼り敷いていきます。外壁にも斜めストライプ状に配され、足場の内側に建物の全体像があらわれました。
構造体の要、コンプレッションリング
この構造体の要であり、陽射しを取り込むための窓でもあるコンプレッションリング。室内壁には泉州産材の色と厚みの異なる16種類の木レンガが貼りめぐらされ、木ならではの温かさと優雅さを奏でています。
迎え入れられたベンジャミン
エントランスや裏庭の植栽、外構工事。電気配管工事、細部にわたる内装、木レンガの仕上げ工事など、ディテールにこだわったフィニッシュワークが進む中、建物の中央にベンジャミンの木が迎え入れられました。
響き合う美しいリズム
完成した優雅なシルエットの建物全体をご覧ください。内部ではやわらかな表情の木レンガが描く曲線と、美しいリズムで交差する梁の直線が見事に響き合い、人が、木と、出会うこの場所を静かに祝福しています。
BIMの活躍
私たちコーナン建設は、「ISO14001」を継承するとともにSDGs(持続可能な社会の実現)への積極的な取り組みの実施」という目的のもと、部署・セクションを超えて、SDGsの達成貢献に向けた様々な取り組みをすすめています。
そして私たちは「常に一歩前をいく姿勢」MOVE FORWARDを大切にし、その姿勢をあらわすもののひとつが、BIMです。
今回も泉大津PAのあらゆる工程で情報を共有・活性化できるBIMのメリットを最大限に活かしました。魅力的な基本設計をよりスムーズに現実化していくために、リアルな3Dイメージを構築。仮設計画から各施工ステップを可視化・共有することで、生産性と品質の向上、さらには材料の無駄を軽減し、環境負荷の低減を目指しました。そして、様々なシーンで積み重ねられるBIM活用の画期的なスキルは、次代を大きく拓く新たな進化へと受け継がれていきます。
主な業務内容は
BIMを用いた実施設計図作成、及び修正作業
指示スケッチと参考図により作業していただく業務です
使用ソフトはARCHICADです
次代を大きく拓くBIMを、どうぞご一緒に!
続きがありますが
ご期待ください!